■県内経済の展望<9>福島民報 2021.1.14
『復興需要減で一服感』
≪アレンザホールディング浅倉俊一氏(ダイユーエイト社長)≫
―昨年一年間を振り返って。
「新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ホームセンター業界が地域のライフラインを担う業種と改めて認識された。生活物資の供給責任を果たせたと自負している。巣ごもり需要などを背景に、若い世代の客層が増えており、変化し続けるニーズにいかに対応していくかが重要だ。新しい商品、サービスを開発、提供し続けることが使命だと感じている」
―今後の経営戦略を聞かせてほしい。
「出店戦略とM&A(企業の合併・買収)戦略の二つが柱となる。M&Aを一層推進し、2030(令和12)年の目標として揚げているグループ全体の売上高三千億円の達成を目指す。市場競争はドラッグストア、スーパーなども加わり、激化している。同じ競争をしていたら負けてしまう。ホームセンターの強みであるDIYや園芸、作業用品などの主力商品をさらに充実させ、他社との差別化を図る。商品の楽しさなどを提案しながら、ワクワク、ドキドキする売り場をつくっていく」
―企業はどのように変わっていくのか。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、顧客の利便性を高めるとともに、売り場の経営効率化を進める必要がある。人工知能(AI)を使った商品の需要予測、発注など時代の流れに合った経営システムを構築していく。インターネット販売と店舗販売の融合も積極的に進め、ネットで見た商品を店舗に足を運んで購入したり、店舗で見た商品をネットで購入したりする仕組みを整える。さまざまな可能性を求めていく」
―県内の経済概況をどう見るか。
「東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から丸十年を迎える。復興需要は少なくなり、一服感が出るだろう。さらに新型コロナで地域経済は相当疲弊しており、今年は冷え込む。守りの経営ではなく、攻めの姿勢でチャレンジしていくことが大切だ。未来志向で取り組む」
■浅倉俊一さん聖火ランナーに選ばれる。